―――   「身代わり」 千鶴×たつき 著者:56様   ―――



部活動を行っていた生徒達も全て下校した空座第一高等学校の女子テニス部内。
そこに何故か二人の女子生徒が残っていた。
1年3組有沢竜貴と同じく1年3組本匠千鶴だ。
何故この二人がこの時間にこんな場所にいるかというと、昼休みの会話に戻らなければならない。
それは−…。


本日昼休み、1年3組の教室にてこのような会話がなされていたのだ。
「ひーめ!ご飯一緒に−…ってあれ?」
千鶴がお弁当をもってたつきの側に来て、友人の井上織姫に向かって声を掛ける。
しかし織姫は荷物をまとめていて、お弁当を出す気配がなかった。
それをいぶかしんで千鶴は更に織姫に話しかける。
「姫?どうしたの?早退?」
織姫はかすかに笑ってうなずくと千鶴の質問に答えた。
「う、ん…今日なんか生理痛がひどくて…。いつもこんな事ないんだけど。越智先生に言ったら帰っていいよって言われたから帰っちゃおうとおもって」
「そうなんだー…っち。仕方ないよね。無理しちゃ駄目だよ?私の大事な姫のカラダなんだもん!」
千鶴がそう言った瞬間たつきの眉間に皺が寄る。
「誰の織姫だって?勝手に自分のものにしないでくれる?私織姫をそっちの世界に入れる気ないんだからね!?」
そんなたつきの言葉に今度は千鶴の眉間に皺が寄る。
「あーはいはい。あんたのそう言う言葉は聞き飽きたわよ。そんなに言うなら自分か姫の代わりになるとでも?」
「何ィー!」
「何よー!」
不穏な空気になった二人にあわてて織姫が仲介に入る。
「たつきちゃん!千鶴ちゃん!もうやめてよーそんなことでいがみ合うの」
織姫が困ったように二人の間にはいると、ようやく二人のにらみ合いが終わる。
それでも二人がまだ納得いかないと言うようにぶつぶつ言っている。
それを敢えて振り切って織姫は帰ることにした。
本当におなかが痛くてたまらなかったのも理由の一つだが、このようなことは日常茶飯事だったからだ。
「じゃあ私帰るねー!」
たつきと千鶴ははじかれたように織姫を見るとそれぞれ『わかったー!じゃあまた明日ねー!』と言って手を振った。
織姫が去った後、千鶴は突然態度も大きくたつきの横に腰掛けた。
「あーあ、姫がいないんなら素直に部室いってりゃよかったかなー」
その言葉にかちんときたたつきは挑戦的に千鶴に向かいこう言い放った。
「今からでもいきゃーいいでしょうよ。何度いったかもわからないけど織姫は私の大事な友達だからあんたの毒牙にかける気はこれっぽっちもないわけ。わかった?」
「何なの?いいでしょ?姫は姫の意志で私の方にくるかもしれないんだから!そうしたらたつきあんたどうするって言うのよ?」
「あのコは一護が好きなんだからそれはありえないね!」
「何いってんのよ、あんたも黒崎が好きなくせに!それで姫の応援?ちゃんちゃらおかしいわよ!」
千鶴の言葉にたつきはカッと顔を赤らめた。
「何!いってんの!私が一護を?…ハッ何勘違っちゃってんのか知らないけど思いこみも程々にしなよね!」
「何?じゃあんた姫の代わりに私の所にこれるとでも?」
「ああわかったわよ!いってあげるよ!」
たつきがそう言い放った瞬間、千鶴の眼鏡の奥の瞳がきらっと光ったのをたつきは見逃さなかった。
ヤバ…たつきがそう思った瞬間、千鶴は聞きとしてこう言い放ったのだ。
「じゃあ、今日部活終わったら女テニ部室で待ってるから!」
そして、最後に千鶴は悪魔のような言葉をたつき以外には聞こえぬよう囁いたのだ…。
「アタシ、マジでそろそろ我慢の限界なんだよね…。たつき、今日こなかったらいつかそのうち本当に姫襲っちゃうかも…」
たつきに選択肢はなかった。

そのようなわけで、女子テニス部の部室にたつきと千鶴がいたのである。
しかも一度先生達の見回り済みなので、当分他の誰も来ることはない。
そのかわりに電気がつけられないため、窓から差し込む月の光だけが唯一の光源だった。
靜かに見つめ合っていた二人だったが、耐えきれずにたつきから口を開いた。
「ここもさー鍵職員室に返してるんだよね?なんで中に入れたの?」
たつきは先ほどからずっと気になっていたことを千鶴に向かって尋ねる。
千鶴はにやりと笑ってポケットから可愛いキティちゃんのキーホルダーの付いた鍵を取り出した。
「じゃーん!」
誇らしげに鍵を取り出した千鶴を見て、たつきはぽかんとした顔でその鍵を見つめた。
「何…ソレ?」
「何って合い鍵に決まってるじゃん。代々部長がこっそり持ってるらしいんだけど何かあれば貸してもらえるんだよね。あ、もちろんこれは顧問の先生には内緒ね?」
にこにこしながら千鶴は鍵をくるくると回す。
たつきはへぇ…と感心したようにうなずくことしかできなかった。
「あ、誰か来ないかって心配?大丈夫!こないだここで先輩がヤったらしいんだけど全然平気だったって。…あ、もちろんその先輩は彼氏さんとね!」
ぺらぺらぺらぺらと笑顔で話している千鶴の顔をたつきは呆気にとられたように見ていた。
千鶴はそうそう…と言いながら自分のロッカーを開けると中からなにやらいろいろなものが入った袋を取り出した。
「何ソレ?」
たつきが不審そうに尋ねると千鶴は楽しそうに後でのお楽しみ、と言って隠すように二人の荷物の後ろに置いた。
「さぁて…」
千鶴がくるり、とたつきの方を向く。
たつきはごくり、とのどを鳴らして唾液を嚥下した。
一歩一歩近づいてくる千鶴に、たつきは無意識に後ずさりする。
しかしそれもすぐにロッカーに背がぶつかり逃げ場が無くなった。
千鶴はひるむことなく間合いを詰めてくる。
たつきは思わず手が出そうになった、その瞬間。
「姫」
千鶴が小さな声で、しかしはっきりとそう言うとたつきの手から力が抜けた。
たつきは視線を斜め下に落とし、瞳をぎゅっと閉じて千鶴の動きを待った。
正直怖い、たつきはそれだけを感じ拳を作っていた。
初めての相手が、好きな男でないことを少しだけ悲しく思いながら。

千鶴はたつきの悲壮そうな表情に少し理不尽な憤りを感じていた。
ちゃんとたつき自身が納得してこの場所にきたのではなかったのか、そう言いたかった。
その憤りは次第に抑えられなくなっていく。
「たつき?ちゃんと顔上げなよ?」
千鶴はそう言うとやや強引にたつきの顎に手を当て、次の瞬間自らの唇をたつきのそれに押し当てていた。
「…っ!」
たつきは驚き顔を背けようとする。
千鶴はそれを許さず、強くたつきの顎を抑えたまま唇を放そうとしなかった。
その上、たつきの唇を舌でなぞり始めたのだ。
たつきはその濡れた感触に思わずぎゅっと瞳を閉じた。
千鶴は何度も、舌で唇をなぞる。
そのうちたつきは耐えられなくなり、もうやめてよ、と言うために口を開いた瞬間千鶴の舌がするりと忍び込んだ。
千鶴はたつきが耐えられなくなり口を開くのを辛抱強く待っていたのだ。
舌に直に他人の舌がふれあい、絡められる感触にたつきは無意識に身震いしていた。
その反応に千鶴は気をよくし、更にたつきの口内を蹂躙する。
「…っふ、ぁ…」
息を吸おうとするたびに漏れるたつきの小さな吐息。
千鶴はたつきの無意識の媚態に既に興奮し始めていた。
ここにいるのは織姫ではなくたつきだ。
それを理解した上で、それでもたつきを今すぐ押し倒して隠されている全てを暴いてしまいたいと言う欲望が次から次へといてくるのである。
ちゅっと音を立てて名残惜しそうに千鶴はたつきの唇から自分のそれを放すと、放心状態にあるたつきの首筋に顔を埋め強めに吸い上げた。
「…ぃつっ…」
思わぬ刺激にたつきは思わず近くにある千鶴の顔を見る。
すると千鶴は顔を半分ほど上げにやり、と笑った。
「つけちゃった。……キスマーク」
ふふっと笑って千鶴は自分が吸い上げた場所を人差し指でなぞる。
くすぐったいようなゾクゾクする感触にたつきは思わず肩を竦めた。

「ほら、ずっと立ってても誰かに見つかっちゃうとまずいから座りなよ」
千鶴はさも親切そうにたつきの肩に手を置き、力を込めた。
たつきはまだ半分呆然としたままうなずくと素直に座り込んだ。
千鶴はほくそ笑むとたつきの膝に片手を置き、もう一方の手でたつきの頬を撫でながら見つめ合った。
千鶴はすぐに視線を自分の手とたつきの足に移した。
するすると這い上がっていく手にたつきは気づかない。
いや、気づいていたとしてもそれを止めようとはしなかった。
心の片隅ではたつきも何かを期待していたのかもしれない。
千鶴の手がたつきの足の付け根まで辿り着くと、休む間もなくたつきのそこに下着の上から手を這わせた。
ゆっくりと上から下へ、手を動かす。
たつきはびく、と体を震わせたがきゅっと口を結んで何も言わなかった。
千鶴はこの場に来てまでまだ嫌がり我慢しているのかと思い、ちらりとたつきの顔を見る。
たつきの頬は紅潮して紅くなっていた。
それは明らかに嫌悪感を浮かべた表情ではなく、与えられる快感に必死で耐えている、そんな表情を浮かべていたのだ。
千鶴は安心すると同時にその表情を見たことで一気に大胆な気持ちになった。
ゆっくりと上下に動かしていた手を前の方の一点を集中的に弄り始めたのだ。
強く、優しく何度も擦り上げる。
千鶴は次第にたつきの呼吸が荒くなっていくのを感じた。
「……っは、ぁ……ふ、ぅ…ん……」
たつきは喘ぐように吐息を漏らした。
千鶴は徐々にたつきの下着が湿ってきたのに気づいていた。
そろそろ、いいかな…。
千鶴はそう思い、唇をぺろりと舐めると下着の上から弄っていた手をゆっくりと動かし下着をくぐらせると直にたつきの肌に手を触れさせた。
ぴく、とたつきが反応したが千鶴は構わず先ほどまで下着の上から弄っていた場所に指を押し当てると直に指で嬲り始める。
「あ、ゃ、まって…ぁ…っ…」
たつきは千鶴の指の感触に思わず声をあげた。
自分で触ることはあっても他人に触れられたのは正真正銘これがはじめてなのである。
動揺を隠せないたつきに千鶴は、たつきの耳元に唇を寄せ大丈夫よ、と囁いた。
「私に任せて…絶対気持ちよくさせてあげるから」




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